「レジリエンス」 という言葉は大変便利な言葉
林 春男
京都大学 名誉教授
レジリエンス協会 会長
防災の世界では、日本語で「防災力」にあたる言葉がありませんでした。これを“Vulnerability Reduction”と捉えてきました。そのため道具が”Mitigation”であり、“Preparedness”でした。2005年に神戸で開催された世界防災会議では、世界から災害を減らすために兵庫行動枠組みが採択されました。それ以来”Resilience”という言葉が「防災力」という意味で市民権を得て、あちこちで積極的に使われるようになりました。
防災の世界ではレジリエンスは抽象的概念ですが、あるところで「レジリエンス」は具体的でイメージしやすいといわれました。くしゃくしゃになっても元の形状に復元する「形状記憶」の合金や衣料がありますが、あの「形状記憶」の性質がレジリエンスだと教えてもらいました。心理学や保健学の方たちもレジリエンスという言葉を大切なキーワードとしていることもわかりました。こうしたレジリエンスという言葉が持つ含意の幅広さは、組織の事業継続能力の向上を目指す「レジリエンス協会」の活動を多くの方々に分かりやすくする上で重要な働きをしてくれると感じています。
これからも研さんを積み「レジリエンス」という言葉を使う達人になることを協会で目指したいと思います。